小袖(岩手県)
小袖海岸をはじめて訪れたのは、1993年のことだった。久慈から東北新幹線に連絡する高速バスに乗るまで時間がたっぷりあったので、空いている時間で近隣をぶらぶらしようと思ったのである。
そのとき見つけたのは、久慈駅発小袖海岸経由久慈駅行きというJRバス。1日に3本ほどが走っていて、これを途中下車しないで1周してきたのである。
そのときに見た車窓の楽しさに、ぜひ再訪してゆっくりと降りて歩こうと思い、やっとその10年後に実現した。
その後に起きた東日本大震災では、津波に備えて高台につくられた集落には被害はなかったが、海岸沿いの施設は壊滅し、1人が亡くなったという。
2003年7月撮影
Kosode, Kuji City, Iwate Prefecture
キャプションの数字は撮影地点の緯度、経度、撮影方向(真北が0°で時計回り)

1993年の旅で印象的だった車窓風景が、小袖の裏にある台地を抜けて、急坂を海に向かって下る風景だった。そこで、2003年には海が見えてきたところでバスを下車。坂道を歩いて下りながら撮影した
40.165062, 141.851491
30°
2003/07

坂を下ってバス通りに合流する地点にあった民宿「大隆」。建物は現在も健在だが民宿の看板は出ていない。
40.166271, 141.852292
195°
2003/07

民宿「大隆」の左、バス通りの東側を見たところ。ここまで3枚の写真は、丘の上にある小袖上の集落。津波を避けて高台に集住したのだとわかる。
40.166079, 141.852313
165°
2003/07

小袖は昔から女性の素潜り漁が盛んで、すでに「北限の海女」で有名となっていたようだが、7月だったにもかかわらず観光客の姿はなく、静かな漁港という感じであった。
40.167911, 141.850608
60°
2003/07(

この後、2009年に19歳の海女がデビューしたことで、小袖は「かわいすぎる海女」というキャッチフレーズが人気となって、1年を通じて数多くの観光客がやってくるようになった。2010年には写真中央奥あたりに「小袖海女センター」が建てられたが、2011年3月の東日本大震災による津波で倒壊してしまった。
40.168143, 141.851380
45°
2003/07

上の写真から漁港沿いに300mほど西に歩いたあたり。海のそばの建造物は東日本大震災の津波によって流されてしまった。現在は更地となって防潮堤が嵩上げされている。
40.167448, 141.848125
300°
2003/07

上の写真の山側ある「小袖商店」。津波の被害はあったかと思われるが、現在も建物は健在。当時のJRバスの小袖海岸バス停が見える。現在のバス停は、上の写真のあたりにある。
40.167359, 141.848048
135°
2003/07

当時は、久慈駅前から国道45号線を経由して小袖海岸に向かい、ぐるりと一周して久慈駅前に戻るJRバス路線が1日に3便運行されていた。当時は西隣の舟渡漁港前の舟渡トンネルが未開通で、ずいぶん複雑なルートで久慈駅に向かった記憶がある。
現在では久慈駅~小袖海岸~陸中野田駅を往復する市民バスとなっている。運行は岩手県北バスが受け持っているようだ。
40.166566, 141.851752
270°
2003/07
2025年5月公開
Copyright © Takashi FUTAMURA