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蔵出し鉄道写真館
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飯田線 (1972年4月)


伊那松島駅
 

木曽で蒸気機関車と森林鉄道の撮影を終え、宿泊したのは王滝(田島)の国民宿舎「おんたけ荘」。部屋の窓から、川の向こうを走る木曽森林鉄道の姿が見えたのは、限りない幸福であった。そのときの写真はここに。

翌日、東京への帰りがけに立ち寄ったのは、戦前型の旧型電車や旧型電機の天国であった飯田線である。もっとも、宿を出たのが遅かったから、機関区のある伊那松島に行っただけである。
この写真は、伊那松島駅から豊橋方面に向かって発車する、前面が半流線型の電車。なんの変哲もない写真に見えるが、ホームに置かれた数々の小荷物、そして荷物の重さを測るための重量計が懐かしい。向こう側のホームにはタンク車が見える。


伊那松島駅のED18 伊那松島駅のED19
 

しばし伊那松島駅にいただけで、いろいろ貴重な車両を見ることができた。左はED18の1号機。ED17に似ているのは当然で、ED17 17を軸重軽減改造した車両である。

そして、友人たちとともに伊那松島機関区を見学。今と違って、事務室に行ってあいさつをすれば、簡単に許可された時代である。右は、電車区から駅方向を眺めたところ。貨車を1両引いてED19の5号機がやってきた。右の貨物ホームに停まっている2軸の無蓋貨車トラ30000は、当時はどこに行っても目にすることができたが、今となっては懐かしい。


伊那松島機関区のED19 伊那松島機関区のED26
 

伊那松島機関区では、東京付近ではお目にかかれない珍しい車両をいろいろと目にすることができた。
左は、さきほども撮ったED19だが、この6号機は、さっきの5号機とはサイドビューがちょっと違っている。全機6両が伊那松島に配属されていた。

右は、引きのスペースがなくて、うまく撮れなかったが、車庫の隅に置かれていた珍品のED26である。飯田線北部の前身である伊那電気鉄道からの引き継ぎ機で、いかにも社型っぽい古典的な外観が魅力。11・12号機の2両だけが存在し、この写真は11号機。全体を写したかった。


伊那松島機関区のクモエ21 伊那松島機関区のクハニ67
 

左は、そのED26 11の前に置かれていた電車。不思議な面相でわかるように、事業用車である。今回改めて調べてみたら、17m国電のクモハ11形から改造されたクモエ21009だそうだ。クモエ21形は全部で10両存在したが、車両によってかなり面相が違う。

そして、旧型国電は山ほど置かれていた。デジカメがあれば、片っ端から撮影したのだが、フィルムでは限度があった。高校生にとっては安くはないものだったので、数えるほどしか撮影していないのは残念である。
右は、半流線型のクハニ67形。形式名でわかるように、荷物室がついた車両である。


伊那松島機関区のクモハ43 伊那松島駅付近
 

左の切妻の電車は、クモハ43015。ずらりと並んだ窓が美しい。3扉に改造されることもなく、戦前の関西を高速で駆け抜けた当時の2扉のまま最後まで残った。「試運転」の表示板は、すぐそばに置かれていたのを、ちょっといたずら心で取り付けてみたもの。

そして、伊那松島に戻って、最後に走行写真を1枚。駅から200mほど南に歩いたところにあるカーブで撮影した。

2012年12月作成



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