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時刻表にない鉄道
北海道の簡易軌道
タイトル
風蓮湖への道(廃線跡ではない)
別海村営軌道の所在地

参考:国土地理院5万分の1地形図
「姉別」昭和49年2月28日発行
 別海(べっかい)村(現別海町)は北海道の東部に位置し、日本一面積の広い村として知られていた。なにしろ、香川県の全面積より広いのだから驚きである。

 旧国鉄標津(しべつ)線は二股に分かれていて、別海村を縦断するのは、そのうちの支線扱いのほう(厚床-中標津間)であった。別海村営軌道(風蓮線)は、この線の奥行臼(おくゆきうす)駅を起点として西に向かい、上風蓮(かみふうれん)に至る路線である。

 いまでは標津線も廃止されてしまい、現別海町に鉄道はまったく通っていない。
(上の写真は、別海村内の道でしたが、廃線跡ではありません)
訪問:1976年10月

車庫の中のカトー 私が奥行臼駅に降りたときは、すでに軌道の面影もなかったが、車庫には車両が保存されているという知人の話を頼りに、それらしき建物を覗いてみた。
すると、なかには真新しい車両が残っているではないか。
左側は黄緑色に塗られていた(と思う)加藤製作所製の5トン(たぶん)機。右側はピカピカの釧路製作所製自走客車(気動車)。

自走客車をはさんで、機関車の反対側には無蓋貨車が置いてあった。
この貨車に牛乳のタンクやら生活必需品やらを載せて、簡易軌道の小さな列車が根釧原野をトコトコと走ったのだろう。

自走客車と貨車

自走客車の正面 狭い車庫のなかで、けんめいに引いて撮った写真。
配色は、朱色に近い赤に白帯。晩年の井笠鉄道の気動車を思わせる配色とスタイルだが、こちらのほうがはるかに近代的な印象を受ける。

の車内

 よく見ると、自走客車のドアが開いているではないか。例によって、まわりに人がいないのをいいことに、「おじゃまします」と心のなかで言いながら、車内に入って写真を撮ってみた。
 運転席右にあるハンドブレーキ(ハンドルのようなもの)が目立つ。

 できうることならば、車庫のなかなんぞではなくて、広々とした根釧原野のただなかを走っている場面に居合わせたかった……。

 その後、この3両は別海町の記念物として、場所を移して大切に保存されたという話を聞いた。ぜひとも、もう一度会ってみたいものである。
2000年公開
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