
1970年代の渋谷というのは、正直言ってやぼったい町という印象だった。国鉄のハチ公口を降りると、スクランブル交差点こそあったものの、今のような高層ビルもおしゃれな店もほとんどなく、戦後をひきずった風景が目の前に広がり、むしろそれが好ましく感じたものだった。
渋谷から駒場へ、電車に乗らずにあえて歩いて通ったこともよくあった。いや、だんだんと町を歩くことに心地よさを感じて、「ムルギー」でカレーを食べているうちに、学校までたどりつかなかったことのほうが多かった。どうせ授業をサボるのだったら、最初からカメラを持参してもっと町の写真を撮ればよかったと、今になって思うのである。
キャプションの数字は撮影地点の緯度、経度、撮影方向(真北が0°で時計回り)
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東急百貨店本店(現・Bunkamura)の裏。正面奥が渋谷駅の方向。当時は通り沿いに低い雑居ビルが並ぶ、ごく普通の商店街だった。書店、食料品店、酒屋などの看板が見える。
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上の写真の通りを正面から見たところ。手前側は道幅が狭くなり、静かな住宅街が広がっていた。今では、道が拡幅されて「松濤文化村ストリート」なる名前が付けられて、さまざまな店舗で賑わっている。
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東急百貨店本店(現・Bunkamura)の北側、宇田川通り沿いには小料理屋や飲み屋が建ち並んでいた。今も残る店は1軒もなく、道幅とカーブだけが昔を偲ばせる。こちらに向ってくるのは地元の少年か。
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上の写真から宇田川通りを200mほど北上。宇田川という名前の通り、ここは渋谷川の支流が流れていたが、暗渠化されて道路となった。うねうねと続くカーブが、昔の川の流れの名残をとどめる。
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上の写真の30mほど先の地点から、渋谷駅方向を振り返ったところ。左の2軒の建物は2025年現在も健在。
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