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私鉄ローカル線を訪ねて
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タイトル


本町通りを走る
 本町通りを、桜木町駅前から県庁方面に向かう8系統「葦名橋」行き。この付近は横浜の中心部でもあり、道路の混雑が激しい。車両は、1500形の1506号車。


 横浜の市電が廃止になるという話を耳にしたのは、中学校の卒業式の前後だったと思う。新聞で読んだのか、テレビで見たのかは忘れたが、すぐに行こうと決心した。廃止の日は3月31日。春休みのまっただなかであった。
 中学生時代から、すでにあちこち歩きまわっていた私は、それまでにも、東海道線の列車から横浜市電を目にしたことは何度かあった。横浜駅を出てしばらくすると、殺風景だった左側の車窓に、ごく普通の街並みが拡がり、線路の横に坂道が見えてくる。そこにさしかかると、決まって、山吹色(クリーム色?)に青い帯の市電が見えたものであった。なぜか、その風景が気に入っていた。
 しかし、その光景ももう二度と見られないと思うと、居ても立ってもいられず、友人と小学校4年生だった弟を連れ出し、早起きして家を出たのであった。

撮影:1972年3月31日


横浜港郵便局前  神奈川県庁の向かい側にある横浜港郵便局。曲線が優雅だが、現在は直線的なスタイルの建物に建て替えられてしまった。
6系統・8系統の循環。車両は1500形。右端に見えるバスは、横浜の市営バス。

 時計塔が往時を感じさせる。赤レンガづくりの横浜市開港記念会館をバックに走る6系統・8系統の循環路線。
電車が日陰に入ってしまったので写りが悪いのが残念。パソコンで補正をしたが、これがネガカラーの限界。
開港記念会館をバックに走る

滝頭車庫にて  

滝頭(たきがしら)車庫を訪ねてみると、職員はやってくるファンへの対応に殺気だっていた。
「ほら、その線から内側に入っちゃいけないって、さっきから何度も言ってるだろう!」と、来たばかりの私に怒鳴り散らす。
 いまだったら、「なんだいま来たばかりだら、そんなの知るわけない」と怒鳴り返しているところだが、当時の私は気が長かった。
「ああ、こうして誤解というものが生じるのか」と、世間を生きる糧としたのである。


 世間の荒波にまた一つもまれた私は、職員の怒りを買わないよう、地面に描かれた白線に注意しつつ、周囲を眺めわたすことにした。
 すると、車庫の中に何やら事業用車のようなものが見えるではないか。いまだに正体不明である(真剣に調べようとしないだけなのだが)。
滝頭車庫にて

桜木町駅前  桜木町駅前の歩道橋から港の方向を見る。いま、この写真の後方は「みなとみらい21」地区が拡がり、このあたりの光景はまったく変わってしまっている。


 



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