-思い入れの強い前書き- | ||
▲これは後に買ったサンレモ音楽祭の有名曲を集めたCD(King 24DE2013-15) |
私も、高校生のころまでは、英語の歌をよく聴いていたものだ。ビートルズはもちろん、CCRにスリードッグナイトなんていうグループが流行っていたころである。もちろん、日本語のフォークソングなんぞも聴いていた。 そんなある日、ラジオから流れてくる英語のポピュラーを聴いているうちに、ふと疑問が沸き起こった。 「そういえば、日本で外国のポピュラー音楽っていうと、ほとんど英語ばっかりだよなあ。それじゃあ、英語圏以外の人たちは、どんな曲を聴いているんだろう」 もとはといえば、そんな好奇心からであった。当時の私は、いわゆるクラシック音楽もジャズもタンゴもサンバも、なんでもかんでも聴きたかったのである。 そんな私の欲求を満たすのは、NHK-FMでやっていた「中南米の音楽」であり「サウンド・オブ・ポップス」であった。「サウンド・オブ・ポップス」は、日曜から金曜の夜7時15分から8時までの番組。英語のポップスに混じって、しばしば非英語圏の歌を取り上げていた。 |
|
そして、いま思うと、われながら不思議なのだが、あるとき1週間ぶっとおしで特集された「サンレモ音楽祭の歴史」という番組を、カセットに録音したのであった。 聞いてびっくり、「アル・ディ・ラ」や「雨」「ボラーレ」など、題名は知らなくても耳にしたことのある音楽がいっぱい。さらには、プレスリーの「この胸のときめきを」や、トム・ジョーンズの「ラブ・ミー・トゥナイト」の原曲はイタリアであることも知った。 のちにイタリア語を勉強してイタリアくんだりまで行くことになったのは、この番組を録音したこととはまったく関係ないのだが、まあとにかく英語圏以外にもいいポピュラー音楽がいくらでもありそうだ、ということは頭の隅に残ったのであった。 |
||
学校を出て、縁があってイタリアに行ってからは、現地でレコードをしこたま買い込だり、日本では通信販売を頼ったりと、LPの枚数を増やしていくことになる。 さて、1980年代もなかばとなると、ちまたではエスニックブームなるものが起こった。若かった私も、東京に住んでいることを幸いに、ヒマがあると、ロシア料理にインド料理、タイ料理、ブラジル料理、台湾料理、韓国料理、スカンジナビア料理、インドネシア料理、ルーマニア料理……と、あちこちを経めぐっていたのである。 そんな時代に、どこのレコード屋だったか忘れたが、たまたま目に入ったのが、インドネシアの歌手デティ・クルニアの歌う「ボンチェンドン」のLP。 すぐさま手に取り、帯に書かれたあおり文句と、裏面の中村とうよう氏の解説を読んで、むらむらとかつての好奇心が沸き起こり、迷わず買ってしまったのであった。 たまたまその日は、目黒のインドネシア料理「せでるはな」で知人と食事の約束があったのも奇遇だった。 で、激辛の「牛肉唐がらし炒め」に舌つづみを打ったのち、家に帰って聴いてみた。 |
▲デティ・クルニアが歌う「ボンチェン・ドン」のLP(Soup Record D901) |
|
「おお、これだ、これ!」 ロックの影響を受けてはいても、まさにインドネシアを感じさせる明るくモダンなリズム。西洋にこびることなく、民族の血を感じさせるメロディー。それでいて、博物館に入るような民族音楽でもなく、泥臭さもほどほど。私が、長年待っていたのは、こういう音楽だったのだ。 そのうちに、ぽつりぽつりと、こうしたLPが発売されるようになり、私は目を皿のようにしてレコード屋をめぐる日々を迎えたのである。 |
||
▲グローブスタイルのコンピレーションCD(Globe Style CDORB018) |
やがて、LPからCDへの変わり目の時期に、グローブスタイルというレーベルから、世界各地のポピュラー音楽が続々登場することになる。そのコンピレーション盤を手に入れて、私は来る日も来る日も、CDの裏側が透けてくるのではないかと思うほど、むさぼるように聴いたのだった。 そこには、キューバ、イスラエル、レソト、ギリシャ、モロッコ、マダガスカル、コロンビア、スペイン、ザイール、ドミニカ共和国、スーダン、マリ、アルジェリア、マルチニーク、マダガスカルと、豊かなポピュラー音楽の世界が広がっていた。 そして、ここを突破口にして、西アフリカ各国のスマートなポピュラーから、インドの映画音楽・宗教音楽、スリランカの音楽、アラブ演歌に至るまで、しこたまCDを買うハメに陥ったのである。 で、ため込むだけじゃ能がないので、せっかくだから同病の人間を増やしてやろうと思い立ち、私のホームページの一つに、こんなページを立ち上げたのであった。 |
|
このページで取り上げるのは、基本的に英語以外で歌っている人。で、なるべく日本での知名度が低い人を中心にしたい。 といっても、そんな偉そうなことは書けないので、「私の好きな歌手」「私の好きなCD」の紹介に終始することになるんじゃないかと思う。取り上げる歌手も、その分野に詳しい人ならば、「なんだ、わざわざこんな大御所を……」と思われるかもしれないけれど、まあ許してください。 |
■トップページ | | | 「世界の音楽を求めて」目次に戻る■ |