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時刻表にない鉄道

東京都港湾局専用線(晴海)


 東京の晴海(はるみ)といえば、東京湾に面した古い埋め立て地。ここには国際貿易センターがあり、千葉の幕張メッセができる前は、国際見本市やモーターショーなどといった大きな催し物が開かれていた。
 この晴海には、国鉄の越中島貨物駅から専用鉄道が延びており、青いボディーのDD13がいるという話を、なぜか鉄道雑誌で読んで知っていた。
 そんなわけで、晴海のモーターショーの帰り(当時はまだ車に興味を持っていた!)に、近くをうろうろしていると、例の機関車がすぐに目に入ってきた。
晴海の臨海鉄道


小野田セメントの工場を背景にした専用鉄道の風景。現在、この鉄道の敷地は公園になっている。右手奥に青いディーゼル機関車が見える。
左のバスは、見本市会場に向かう都営バス。1960年代後半から1980年ころまでの都バスの色である。

1970/11

晴海臨海鉄道の所在地 晴海の位置

所在地: 東京都中央区
訪問日: 1970年11月,1973年7月


青いDD13 近くから見たディーゼル機関車。国鉄のDD13と同じだが、確か自社発注のオリジナルだった。

1970/11

ある日のこと。北海道の明治鉱業(留萌鉄道)で働いていた独クラウス社製の15号機が、なぜか一時的に晴海にいるというニュースを耳にした。
さっそく出かけてみると、いかにも写してくださいといわんばかりに止まっていたのであった。


1973/7
クラウス15号機

クラウス15号機 優雅な姿である。「レイルNo.22 私鉄紀行『北線路』」(湯口徹著、プレスアイゼンバーン)によると、現在は北海道の沼田に保存されているとのこと。このときは何かの展示のために海路で東京港に上陸したところだったような記憶がある。

1973/7

 このときはまだ中学生。晴海の専用鉄道はたまたまそこにあったから写真を撮ったというだけのものである。いつでも撮れると思ってそれっきりだったが、いつのまにか廃止になってしまった。
 いまから思うと、春海橋を渡る青のDD13を写しておけばよかったが、この趣味は後悔の積み重ねで成り立っているようなものだからしかたがない。

 ところで、明治鉱業のクラウスだが、保存された蒸気機関車が2両あった。この15号と、もう1両は17号である。「クラウス17号」といえば、廃車後に突如マスコミを賑わせたかと思うと、あちこちに転売され、しまいには大阪の万博に展示されたという機関車である。現在は、那珂川清流鉄道保存会によって大切に保存されている。
 一方、この15号機のほうはそれほどの騒ぎにも巻き込まれず、大井川鉄道に貸し出されて動態保存などをされたのち、2010年からは北海道の沼田町ほろしん温泉ほたる学習館で保存されているという。

1999年公開
2019年一部記述修正


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