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とりあえず写真館


陸の孤島 北海道・雄冬 (1979年)

増毛港にて 増毛~雄冬航路
雄冬の集落
雄冬から南側(浜益方面)を望む
「陸の孤島」と呼ばれる地域は、日本でもあちこちに存在したが、1980年に増毛側からの国道231号線が開通するまでの北海道・雄冬ほど、その名にぴったりの場所も少なかっただろう。
 陸路といえば、増毛から山沿いを通る細い道だけ。それも冬には閉鎖されるため、外との行き来は増毛港から出る1日1便の雄冬海運株式会社の船だけが頼りだった。
 この船に乗ったのは大学生のときである。雄冬航路という立派な名前が付いていたのだが、船は漁船を改造したような小さなもの。強風波浪注意報が発令されるなかで出航した船は、揺れに揺れてデッキは水びたし。一時間半以上かけて雄冬に着いたときには、もう船酔いでへろへろになってしまった。
 その日は雄冬の民宿に泊まったのだが、本当にここは何もないところであった。だが、いま思えば、何もないこの村をぼんやりと歩き、夕暮れの海を眺めたのは、限りないぜいたくな時間だったのかもしれない。
 翌日は強風のために、なんと船は欠航。民宿のおじさんのアドバイスに従い、建設中の国道で資材運搬のために往復しているトラックに便乗して、増毛の町外れまで連れていってもらった。
 いまでは、南の浜益側からも国道が通じ、札幌から車で2時間弱で行けるようになったという。札幌からのバスも通っているようだ。村の様子も変わっていることだろう。
2007年1月作成




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