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年末の上野駅  (1974年12月)

上野駅中央改札口 上野駅19番線の特急ひばり


1972年の年末に見に行った上野駅の帰省風景に魅せられて、この年も上野駅を訪れてみた。写真を見ればわかるように、すでに列車よりも駅の風景や利用客に興味が移っていることがわかる。
 当時の中央改札口には、発車時刻を示すこうした木の札が下がっていた。「大連絡橋」「上野公園口」というのは、それぞれの列車を待つ場所を示している。年末はあまりに多くの乗客がやってくるので、そのままではホームからあふれて危険なためである。駅前にはテント村が設けられていたが、徐々に規模が縮小されており、もしかすると、このころには姿を消していたかもしれない。



上野駅中央改札口 上野駅中央改札口付近


私が待っていたのは、この木の札を差し替える作業である。若手の駅員が、靴を脱いで台にあがり、手早く差し替えていた。朝夕の高崎線、東北本線では、すでに10分おきくらいに発車していたのではないか。それを、手作業で差し替えるのは、当時でも時代後れに感じられていた。いつでも電光掲示板の導入がありうると思い、なくならないうちに撮っておこうと思っていたのだ。そんなことを考えていた人はほとんどいなかったようで、かなり貴重な記録となった。
 これが撮れたので満足して、あとは一昨年に引き続いて年末の上野駅を行き来する人びとを撮ってみた。



上野駅中央改札口付近 上野駅中央改札口付近


今だったら、肖像権で問題になるかもしれないが、すでに撮影から36年も経っていることだし、公開してしまおう。人物を特定することは難しいだろうし。



2020年11月公開


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